刻み海苔をのせたどんぶり

海苔はプリン体が多い?痛風・尿酸値が気になる人のための「1枚あたり」で考える食べ方

健康診断で尿酸値が高めと言われ、食事のプリン体を気にしている人は多いでしょう。そんな人が食品のプリン体一覧表を見ると、意外な食品が上位に並んでいることに驚くかもしれません。それが焼き海苔です。100gあたりのプリン体の量は、レバーや干物をも上回る水準です。では、尿酸値が気になる人は海苔を控えるべきなのでしょうか。答えのカギは、ここでも「実際に食べる量」と「プリン体の種類」にあります。この記事では、公益財団法人 痛風・尿酸財団のデータと、プリン体の研究論文をもとに、海苔のプリン体を正しく評価し、尿酸値が気になる人の現実的な食べ方を考えます。

焼き海苔のプリン体は100gあたり591.7mg

プリン体は、細胞の中の遺伝子(DNAやRNA)やエネルギー物質の材料になる物質の総称で、ほぼすべての食品に含まれています。食べたプリン体は体内で代謝され、最終的に尿酸になって尿や便から排出されます。尿酸が血液中に増えすぎた状態が高尿酸血症で、これが続くと痛風の原因になります。

痛風・尿酸財団が公開しているプリン体含有量の一覧によると、焼き海苔(乾燥)のプリン体は100gあたり591.7mgです。これは、鶏レバー(312.2mg)やマイワシの干物(305.7mg)を上回り、かつお節(493.3mg)よりも多い値です。同じ海藻でも、乾燥わかめは262.4mg、乾燥ひじきは132.8mg、乾燥昆布は46.4mgと、種類によって大きな差があります。

食品 100gあたり 1回量の目安あたり
焼き海苔(乾燥) 591.7mg 全形1枚(約3g)で約18mg
乾燥わかめ 262.4mg 2gで約5mg
鶏レバー 312.2mg 60gで約187mg
カツオ 211.4mg 80gで約169mg
マイワシ干物 305.7mg 50gで約153mg

出典:公益財団法人 痛風・尿酸財団「食品中のプリン体含有量一覧表」。右列は、一度に食べる量の一例として示した重さで換算した値。

ここで大切なのが、表の右側の列です。焼き海苔は100gあたりでは突出していますが、全形1枚は約3gしかないため、1枚あたりでは約18mgにとどまります。一方、レバーや魚の刺身は、一度に数十gを食べることも珍しくないため、1回あたりのプリン体は150mgを超えます。100gあたりの数字だけで比べると、実際の影響を大きく見誤ってしまうのです。

焼き海苔の数値が高く見えるもう一つの理由は、水分の少なさです。食品成分表によると、焼きのりの水分は100gあたりわずか2.3gで、重さのほとんどが乾いた成分です。生の魚や肉は重さの多くが水分なので、同じ100gで比べると、乾燥した食品ほど成分が濃縮されて見えます。煮干し(746.1mg)やかつお節が上位に並ぶのも同じ理由です。

1日400mgの目安と、海苔1枚の位置づけ

日本痛風・尿酸核酸学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では、生活指導として食事療法、アルコールの摂取制限、適度な運動が挙げられ、食事療法の項目ではプリン体の摂取を1日400mg程度に抑えることが示されています。

この400mgと比べると、焼き海苔1枚の約18mgは1日の目安の約4.5%です。1日に3枚食べても約53mgで、目安の8分の1ほどにすぎません。おにぎりを1個食べたり、ご飯に海苔を数枚添えたりする程度であれば、海苔がプリン体の摂取量全体に与える影響は小さいといえます。

食品のプリン体を長年測定している金子希代子氏らの研究グループの論文でも、この点が指摘されています。論文では、食品を100gあたりのプリン体量で「非常に少ない(50mg以下)」から「非常に多い(300mg以上)」までの5段階に分類していますが、海苔や高野豆腐のような乾燥品は、乾燥によって水分が抜けて見かけ上プリン体が多くなるため、印を付けて区別しています。そのうえで、乾燥した食材は見かけ上プリン体含量が高いものの、食事として食べる重量も少ないので、さほど問題はないと考えられると述べています。

プリン体の「種類」で見ると、海苔は尿酸値を上げにくい可能性

プリン体の量だけでなく、その種類にも注目した研究があります。プリン体は、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチンといった「プリン塩基」を骨格に持つ物質の総称です。金子氏らは、270種類以上の食品について、プリン体の量に加えて、どの塩基がどのくらい含まれているかを調べました。

その結果、穀類、野菜、豆、きのこ、そして海草類では、アデニンとグアニンが総プリン体の66〜100%を占めていました。これらは主にDNAやRNAといった核酸に由来すると考えられています。一方、肉類や魚類の多くは、プリン体の50%以上がヒポキサンチンでした。

血清尿酸値への影響を調べた研究では、ヒポキサンチンには尿酸値を上げる作用が特に強いことが報告されています。金子氏らはこうした知見から、アデニンやグアニンが主体の食品は、ヒポキサンチンの多い肉類や魚類に比べて尿酸値を上げる作用が弱いのではないかと考察しています。また、野菜、きのこ、海草類、豆類は、肉類や魚類と異なり、血清尿酸値を下げる作用を持つ食物繊維を多く含むことも、影響が少ない理由として挙げています。ただし、これは食品の成分からの考察であり、海苔そのものを食べたときの尿酸値の変化を直接調べたものではない点には注意が必要です。

同じ論文では、野菜の中でもパセリやブロッコリーの新芽のように100gあたり50mg以上のプリン体を含む「プリンリッチ野菜」について、その摂取は痛風のリスクと関連がないと報告されていることも紹介されています。一方で、肉類や魚類の食べすぎによって痛風のリスクが上がることや、プリン体のとりすぎで痛風発作が再発することは、疫学調査で示されています。プリン体の「量」だけでなく、どの食品から、どの種類のプリン体をとるかが大切だと考えられているのです。

魚についても、種類による違いが指摘されています。金子氏らの別の論文では、魚の皮にはプリン体の約80%をグアニンとして含むものがあり、光沢のある魚の体表面にグアニンが存在することが示されました。こうした光沢のある魚には、尿酸値を上げにくいグアニンが多いうえ、不飽和脂肪酸も多く含まれています。研究グループは、肉類や魚類は適度な量を心がけつつ、光沢のある魚はあまり制限せずに食べるのがよいのではないかと考察しています。

具をのせたおにぎり

焼き海苔のプリン体は1枚約18mg。1日の目安400mgの約4.5%

海苔の旨み成分もプリン体の仲間

少し意外なつながりもあります。海苔の旨みを支えている成分のひとつにイノシン酸があります。焼き海苔を口に入れて噛んでいる間に、海苔の中の酵素の働きでイノシン酸が作られ、昆布と同じグルタミン酸との相乗効果で強い旨みが生まれることが、食品科学の研究で明らかになっています。

実はこのイノシン酸も、かつお節の旨み成分であり、プリン体の一種です。金子氏らの論文でも、プリン体は食品の中では核酸や、かつお節のイノシン酸、しいたけのグアニル酸といった旨味成分として含まれていると説明されています。かつお節(493.3mg/100g)や顆粒のだしの素などのプリン体が多いのも、旨み成分を豊富に含むためです。おいしさの源とプリン体は、表裏一体の関係にあるといえます。

ただし、ここでも量の問題を忘れてはいけません。海苔のイノシン酸は、旨みを感じさせるには十分でも、食品全体のプリン体量としてはごくわずかです。旨みを楽しむために海苔を1〜2枚食べることが、尿酸値に大きく影響するとは考えにくいでしょう。

尿酸値が気になる人の現実的な海苔の食べ方

ここまでのデータを踏まえると、尿酸値が気になる人でも、海苔を極端に避ける必要はないといえます。そのうえで、次のような点を意識するとよいでしょう。

  • 1日の量の目安を持つ:焼き海苔なら1日数枚程度。1枚約18mgとして、食事全体の400mgの中で考える
  • 本当に気をつけるべき食品を優先する:レバー、白子、干物、カツオなど、1回に食べる量が多く、プリン体も多い食品の量を見直すほうが効果的
  • アルコールに注意する:ガイドラインでは、食事療法とあわせてアルコールの摂取制限が生活指導の柱のひとつ
  • 海苔の佃煮や味付け海苔は塩分にも注意:プリン体とは別に、塩分のとりすぎは避けたい

また、尿酸値が高い状態が続いている人や、すでに痛風の発作を経験している人は、食事だけで対処しようとせず、医師の指導を受けることが大切です。高尿酸血症の治療では、食事療法に加えて、必要に応じて薬による治療も行われます。海苔を食べてよい量についても、自分の尿酸値や治療の状況に合わせて、主治医や管理栄養士に相談してください。

「プリン体が多い食品」という一覧表のイメージだけで海苔を避けてしまうと、ビタミンB12や葉酸、食物繊維を手軽にとれる食品を失うことにもなりかねません。数字は100gあたりではなく1回に食べる量で、そしてプリン体の量だけでなく種類にも目を向けることが、尿酸値と上手に付き合いながら食事を楽しむコツです。

この記事のまとめ

焼き海苔のプリン体は100gあたり591.7mgと、レバーや干物を上回る「非常に多い」食品に分類されます。しかし全形1枚は約3gなので、1枚あたりは約18mgで、ガイドラインが示す1日400mg程度の約4.5%にすぎません。研究者も、乾燥した食材は見かけ上プリン体が多くても食べる量が少ないため、さほど問題ないと考えられるとしています。また海草類のプリン体は尿酸値を上げにくいとされるアデニンとグアニンが主体です。尿酸値が気になる人は、海苔を極端に避けるより、レバーや干物などの量とアルコールを見直し、必要に応じて医師に相談しましょう。

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